2か月で30以上のECメルマガを購読した経験から語る「ECサイトのメールマガジン10の法則」

2か月で30以上のECメルマガを購読した経験から語る「ECサイトのメールマガジン10の法則」

メルマガの効果を上げたいと考えるときに、気をつけるべき最新法則を知りたくありませんか?

メルマガ発行者は「いかにメルマガを読んでもらうかと頭を悩ませているでしょう。ECサイトを運営するメルマガ発行者はメルマガから「いかにより多くの商品を買ってもらうか」と頭を悩ませているでしょう。

「メルマガを改善するべきだとは思っていても、どこを改善していいかわからない…」

本記事ではより読まれるメルマガ、より売れるメルマガにするための気をつけるべきメルマガの最新法則を紹介します。

対象読者 : メルマガを発行している方。ECサイトを運営している方

この記事を読んで理解できること : メルマガの改善方法がわかります。

『ECサイトのメールマガジン10の法則』益子貴寛さん

本記事は2014年7月6日13にICC Cross×Gardenで開催されたCSS Nite in SAPPORO, Vol.14「選ばれるECサイト」の参加レポート二弾です。株式会社サイバーガーデンの益子貴寛さんによるsession5『ECサイトのメールマガジン10の法則』についての内容から『2か月で30以上のECメルマガを購読した経験から語る「ECサイトのメールマガジン10の法則」』と題して内容の一部を紹介します。

CSS Nite in SAPPORO, Vol.14「選ばれるECサイト」の参加レポート第一弾はメルマガの改善で売上を405%伸ばしたメルマガの分析方法と改善方法とは?をご覧ください。

益子貴寛さんは仕事としてメルマガの監修も行い、さらに今回はセッションの2か月ほど前から、ふだん読んでいるメルマガに加えて、30以上のショップのメルマガを購読されたようです。30以上のECサイトから届くメルマガほぼ全てに目を通し、感じたこと・気づいたことを元に今回の「ECサイトのメールマガジン10の法則」を発表されました。いわば最新版のメルマガの法則とも言えるかもしれません。

「ECサイトのメールマガジン10の法則」

sessionの前半は「お客さんはなぜ二度買わないか? あなたのECサイトから二度買わない理由」や「メールマガジンの役割」について触れた後、後半はセッションタイトルでもある「ECサイトのメールマガジン10の法則」の話となりました。

早速ではありますが、まずは益子貴寛さんによる「ECサイトのメールマガジン10の法則」の一覧を見て行きましょう。下記のリストはリンクにもなっているので、お急ぎの方は直接クリックしてください。

  1. 顧客の生活サイクルに合わせて配信する
  2. キャンペーンの期限は前日までに知らせる
  3. タイトルには店名だけではなく商品名も
  4. タイトルでは割引、限定、数字を明確に
  5. ヘッダーは短く、本文を早く始める
  6. 記号はほどほどに
  7. 顧客に役立つ「豆知識」を盛り込む
  8. 配信停止の方法は、わかりやすく
  9. 必要に応じて、配信先をセグメント化する
  10. 効果測定はカンタン、かつ、確実に

それでは一つ、一つを見て行きます。

1.顧客の生活サイクルに合わせて配信する

メルマガを配信するときは送りたい対象(顧客)の生活サイクルを考えてみましょう。あなたのECサイトの顧客はいつパソコンの前に座り、メルマガをチェックしていますか?またはスマホで見ているかもしれません。移動中にスマホでメールをチェックしていますか? それとも、夜にソファでくつろぎながら、スマホでメルマガをチェックしていますか?

「顧客が行動を起こすとき…というのは例えば、アクセス解析で見て、曜日別や時間別のコンバージョンのピークがありますので、そのちょっと前に送るのが効果的」と益子貴寛さんは説明します。

あなたのサイトの顧客が行動を起こしているのはいつでしょうか? 早速、アクセス解析を見てみましょう。

では一般的に多いのはどの時間帯でしょうか? セッション内では「メルラボ」の「メールマガジンに関する意識調査2014」の中に「Q. あなたが、メールマガジンを読む時間帯はいつですか?」という設問について紹介していました。

メルラボの調査によると、一般的には20〜21時代が多いようです。

ただもちろん、業界や商材によっても特徴があります。全てのサービスが20〜21時代の反応が良いわけではないことを注意してください。益子貴寛さんは以下の例を紹介していました。

  • BtoBのメールは平日の日中が良い。土日は休みのため
  • レジャースポットは金曜の夜、土曜の朝、日曜の朝が反応が良い。なぜかというと、金曜の夜には「明日、どこに行こうか」と考える人が多く、土曜と日曜の朝には「今日、どこに行こうか」と考える人が多い。そういう方に対してメールマガジンが届くとタイミング良く、反応も良い

2.キャンペーンの期限は前日までに知らせる

では全てが行動の直前がいいかというと、そうでもありません。送り先の配慮も必要です。

「キャンペーンは期限の前日までに知らせましょう」と益子貴寛さんは話します。「なぜかというと、送り先の都合の良い日時に送らないと、モノがダメになってしまうときがあります。相手先に確認する必要がある。相談には一日必要なのです」

ECサイトでキャンペーンを行ったとし、キャンペーン対象品が生鮮品の場合を考えてみます。受け取るのに数日かかってしまうと、送ったモノが腐ってしまう可能性があります。例えばキャンペーンをきっかけに親族に贈り物をする場合は、旦那さんや奥さん、または親戚にも相談する必要があります。送付先に相談を行い、返答を確認してから購入します。

キャンペーンを当日に知り、慌てて確認を行っても間に合わない可能性が高いといえます。前日までには知らせましょう。益子貴寛さんのスライドからの引用ですが、「生活上の行事やイベントに基づくキャンペーンを早めに知らせる」ということを心がけてください。

「生活上の行事やイベントに基づくキャンペーンを早めに知らせる」

ただし、顧客メリットがあるような情報のインパクトが大きい場合(セッションでは全員プレゼントの例を出していました)は、当日のプッシュありだということも話していました。

3.タイトルには店名だけではなく商品名も

メルマガはタイトル(メルマガの件名)が重要です。友人や仕事相手からのメールであれば、タイトルは関係なく読みますが、ECサイトからのメルマガはタイトルで読むかどうかを判断するでしょう。

店名だけのメルマガを想像してみてください。ディズニーやAppleなどブランド価値が高く、顧客とのエンゲージメントを築いている会社であれば、店名(会社、サービス名)だけでメルマガを開くでしょう。しかし、顧客とのエンゲージメントが築けていない会社からのメルマガでは店名のメールタイトルでは読まれないでしょう。

タイトルには店名ではなく、ひきとなる商品名も入れましょう。売るのはお店ではなく、商品です。(本当は商品ではなく、体験を売るべきですが、また別記事で解説します)

益子貴寛さんは2ヶ月ECサイトからのメルマガを読んだ経験を活かして、最近の流行りを教えてくれました。

「最近の流行り。タイトルに店名を入れないことです」

メールタイトルを長くすることは可能です。しかし、メルマガを受信しているユーザーに表示するメールタイトルには限界があります。ブラウザの横幅にもよりますが、ブラウザから見るGmailの画面ではわりと長く表示されますが(50文字は表示されそうです)、メールソフトで受信している人はもっと表示される文字は少ないはずです。私のメールソフトと今の設定では20文字ぐらいしか表示されませんでした。スマホのメール画面ではもっと短いでしょう。私のiPhoneでは全角17文字しか表示されませんでした。

限られた表示される文字の中で何を入れるか。そこで最近の流行りはタイトルに店名を入れないことのようです。以下の理由です。

タイトルに店名を入れると、店名の分だけ文字を食ってしまいます。では店名はどうするか。メールには「送付先」というのが表示されますので、送付先に店名を表示させることが可能です。タイトルには商品やアピールポイントを入れることを検討してみましょう。

また、ここからの内容は益子貴寛さんのセッションでは触れられなかったのですが、スマホで読むことを考えると、本文にいきなりアピールポイントを書いてしまうのもいいかもしれません。下記はiPhone5Sのメール画面ですが、本文の冒頭が説明文のような働きをしますので、冒頭に説明文を書くことで購読率を上げられるかもしれません。

iPhone5Sのメール画面

4.タイトルでは割引、限定、数字を明確に

読者はメルマガのタイトル(件名)を見て読むかどうかを判断します。その際、引きがあるタイトルにすることで開封率をアップすることがいえます。これはWebページのタイトルでも言える話です。

その際、ぜひ入れておきたいのが「割引、限定、数字」です。

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益子貴寛さんのセッションの例から少しアレンジしていますが、上記のようなタイトルのメルマガが届いたら読みたくなりませんか?

5.ヘッダーは短く、本文を早く始める

よくメルマガのヘッダーを過剰に装飾しすぎているメルマガがあります。ただ、読者が読みたいのは綺麗な装飾ではなく、商品などの内容です。読者の気持ちを覚まさないうちに、すぐおすすめのキャンペーンを伝えましょう。冒頭に挨拶を書く方もいますが、読者が本当に挨拶を楽しみに読んでいるかを改めて考えてみてください。楽しみにしているのは内容なのです。

スマホだとヘッダーが長すぎるメールはスクロールするのがめんどくさいでしょう。スクロールしている間に読む気をなくしてしまうかもしれません。益子貴寛さんは「本文を10行以内にはじめるのがベター。5行くらいで開始してしまうのがいい」とメルマガの例をあげて説明されていました。

6.記号はほどほどに

多くのメルマガを監修されている益子貴寛さんによると「担当者が変わったときに気合が入って記号が増える」とのことです。

あまりにも記号が多いと、買わせる気が目立ちすぎてしまい、売りつけられるような感覚になってしまいます。売り手と買い手のテンションが違うと、うまくいきません。読み手はわりと冷静に読んでいます。そのためメルマガの過剰な記号は売り手と買い手の温度差を生んでしまうのです。

「シンプルに。ヘッダーの派手さではなくて、きちんとタイトルで勝負するのが良いメールマガジンです」と益子貴寛さんは締めます。

7.顧客に役立つ「豆知識」を盛り込む

全ての読者が「今すぐ買いたい」と思って、メルマガを読んでいるわけではありません。また、読者は商品に対して詳しい知識を持っているところから買おうとも思います。そこで商品知識や周辺知識があるということを読者の方に理解していただき、信頼を勝ち取るためにも有益な豆知識を盛り込みましょう。読者に対して、「おもしろいメルマガだ」という認識を持っていただければメルマガの開封率も上がるでしょう。これは最近のインバウンドマーケティングやコンテンツマーケティングの考え方にも類似するものです。

8.配信停止の方法は、わかりやすく

以下の図はメルマガ読者の心の動きです。益子貴寛さんのスライドを再現してみました。

メルマガ読者の心の動き

メルマガを取り始めの頃はよくメルマガに目を通すでしょう。ただ、自分にとって内容がそぐわないと感じると、読む頻度は減り、やがて読まなくなっていきます。読まなくなった方は配信停止を行いますが、配信停止の方法はわかりやすくしましょう。

配信停止の方法をわかりづらくし、引き止める方法もありますが、そもそも配信停止を行おうとしている読者はECサイトに対するエンゲージメント(関係性)が弱まっているので、今後メルマガが届いても読むことも買うことも少ないでしょう。

それよりはソーシャルメディア上で悪評を流されたり、またはGmail上で迷惑メール判定をされすぎると、今他の顧客に届いているメールも、Googleに迷惑メールだと判断されてしまう可能性もあり、そちらのほうがリスクが高いと思います。

益子貴寛さんは以下のように締めます「ECサイトのメルマガ発行者は発行部数を競っているわけではないのです。あくまで購入してくれるお客さんがほしいのです

9.必要に応じて、配信先をセグメント化する

「ECサイトであれば、お取り寄せなのか、ギフトなのか。購入履歴からも判断できます。自宅なのか、取引先に送っているのか」と益子貴寛さんは例を上げて紹介します。顧客の中でもさまざまな要望によって、求める内容が違います。それぞれの要望に沿って、最適なメルマガを配信することによって、反応が違ってくるはずです。セグメントする例として、Google Analyticsで取得できる以下の項目を上げていただきました。

  • 年齢
  • 性別
  • 地域
  • 家族
  • 職業
  • 興味や目的
  • 単価
  • 回数
  • 時期
  • キーワード
  • 流入元

10.効果測定はカンタン、かつ、確実に

メルマガの効果測定としては開封率と、URLクリック数を指標にできます。ちなみに、開封率はテキストメールでは取得不可が、HTMLメールでは取得可能です。URLクリック数はテキストメール、HTMLメールともに可能です。

ただ、益子貴寛さんが注目しているのは「解除率」とのことです。私は初めて聞く指標でした。解除率とは以下の式で求められます。

解除数 ÷ 配信数 = 解除率

「横ばいか上り調子なら(解除が多い)、内容に魅力がなく、タイトルや内容を改善するなど改善余地がある」と説明していました。この指標もぜひ活用してみてください。

みんなで「+1」を考えましょう

「ECサイトのメールマガジン10の法則」の発表後、参加型ワークとして「これを法則に加えたい」というテーマの元、参加者の皆さんに新しい法則をアンケート用紙に書いていただく時間が設けられました。参加者が思い思いの法則を書き、その法則はフォローアップメールで共有されました。ちなみに会場では何人かの方に発表いただき、「掲載する商品を多くしすぎない」「アピールしたいポイントをメールタイトルの前のほうに書く」という「+1」があげられていました。

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1983年9月5日生まれ。北海道札幌市出身・在住。大学卒業後は東京へ。インターネット広告代理店のメディアプランナー、モバイルサービスディレクター経験後、札幌へ帰郷。SEOコンサルタント、iOSアプリディレクター、インバウンドマーケティングディレクターなどの職を経験し、2014年4月、個人事業主として「マーケティスト」を設立