今やWeb広告では真っ先に検討するべきリスティング広告。効果が高いことで有名であり、今最も利用頻度が高いWeb広告でしょう。リスティング広告の紹介から、運用を自社で行うべきか、外注するべきか、という点について解説します。
対象読者 : これからリスティング広告を始めたい方。リスティング広告を検討している方
この記事を読んで理解できること : リスティング広告自体のことから、対象検索エンジン、Yahoo!JAPAN・Googleの違い、目的、メリット・デメリット、リスティング広告を始めるために考えること(運用代行に依頼するべきか、自分たちで行うべきか)について理解できます。
目次
リスティング広告とは?
リスティング広告とは検索連動型広告ともいいます。名前の通り、検索エンジンと連動している広告です。ユーザーが検索エンジンで検索したキーワードに関連した広告が表示されます。
(※リスティング広告は検索連動型広告とディスプレイ広告がありますが、本記事では検索連動型広告だけを指して説明します)
まずは日本でシェアの高い検索エンジンであるYahoo!JAPANとGoogleの検索エンジンで、リスティング広告がどのように表示されるかを見て行きましょう。
Yahoo!JAPANの検索結果画面(SERP)
検索結果画面の検索結果をSERPともいいます。この機会に覚えておきましょう。ただし、一般的に普及している言葉とは言い難いため、本サイトでは検索結果画面、検索結果ページと日本語表記します。
以下の画面はYahoo!JAPANで「北海道旅行」と検索した場合の検索結果画面です。
「北海道旅行」というキーワードで検索した画面にはプレミアムポジションに広告が表示されています。
プレミアムポジションとは、自然検索結果の上部に表示されるポジションのことです。「北海道旅行」の場合は検索結果画面の冒頭に5件の広告が表示されます(青は筆者色付け)。プレミアムポジションは2014年7月現在、最大5件ですが、キーワードや時期によっては5件より少ない場合があります。
「北海道旅行」の検索結果画面の場合、プレミアムポジションのほうからリスティング広告の1位〜5位の順位となり、右サイドバーは6位から表示されます。右のサイドバーには8件の広告が表示されます。
Googleの場合
Googleで「北海道旅行」と検索した場合の検索結果画面です。
「北海道旅行」というキーワードの場合のプレミアムポジションは3件です。右のサイドバーには8件の広告が表示されます。Googleの場合もプレミアムポジションの件数はキーワードや時期によって、変動することを注意してください。
リスティング広告の目的
ほとんどの場合、リスティング広告を行う目的は獲得数増です。最も顕在顧客を得やすい手段と言えます。
リスティング広告のメリット
リスティング広告にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
- 商品を今、探している顕在顧客を得ることができる
「北海道旅行 4月 子連れ 2泊3日」と検索するユーザーは4月に子連れの2泊3日北海道旅行を具体的に検討しているユーザーだと言える - 関連性の高いキーワードへの出稿は一般的に最も費用対効果、獲得単価(CPA)が良いとされる
- 低予算(数千円)から始められる
- 運用して効果を上げることができる
- すぐ変更ができる(原稿、価格、キーワード)
- クリック課金のため、無駄な広告費がかからない
- ターゲットの絞込が可能(配信エリア、配信時期、時間帯、デバイスなどを選択可能)
- 自然検索結果よりも上位に表示することができる(プレミアムポジションであれば入札のコントロールにより通常の検索結果よりも上位に表示可能)
- 事前に予算設定が可能であり、予算、費用対効果を明確にできる。成果や費用を明確なデータで管理可能
リスティング広告のデメリット
では逆にリスティング広告にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
- 検索数に限界がある
- 決まった数しか検索されない
- 検索しない人には見つからない
- 短期間集中で多くのユーザーを集めるのに向かない
- 潜在顧客を得づらい
- 検索されにくいキーワードがある
- 競合が現れると、入札単価の変動がある
- 運用を行わなければならない。初期の設定や運用に手間がかかる
- すでに競争過多であり、費用対効果を高めるためには高いノウハウが必要な場合が多い
リスティング広告の始め方
ではリスティング広告を実際始める際の流れについて簡単に説明します。(1)広告代理店やリスティング広告運用会社に依頼して運用を行う方法と、(2)インハウスと呼ばれる自社や自分たちで運用を行う方法があります。
※以降、自社や自分たちで運用を行うことをインハウスと表記をします
(1)広告代理店、リスティング広告運用会社に依頼する場合
1.運用代行会社を探す、見つける
まずはリスティング広告を運用、開始をしてもらう広告代理店、リスティング広告運用会社といった運用代行会社を見つけます。まとめてここでは運用代行会社と呼びます。
運用代行会社を見つけるには?
主に三種類の見つけ方が考えられます。
- すでに取引がある会社に依頼する
- 口コミで探す・紹介してもらう
- ネットから探す
Webサイトを作った制作会社や広告代理店など、すでに取引がある会社がリスティング広告の運用業務を行っている場合はその会社に依頼できます。新しく探すこともできます。どちらがいいのでしょうか?
個人的見解としては、リスティング広告の運用を専門に行っている会社に頼むほうが良いと考えています。なぜなら、リスティング広告は運用ノウハウによって、成果が明確が変わってくる手法です。ノウハウがある=運用経験豊富なところに頼むほうがより成果を出してくれる可能性が高いといえます。
リスティング広告が業務の一部という会社で専門的なノウハウを期待するのは難しいでしょう。
リスティング広告を専門に行っている会社を知っていれば、まずはそこに相談をしてみましょう。知り合いがいなければ、仕事仲間や友人でリスティング広告の運用を外注している方はいないでしょうか。もしいれば評判を聞き、良さそうであれば、紹介をしてもらうのもいいでしょう。
自分の知り合いにも、仲間の知り合いにもいない場合はネットから探しましょう。できればブログなどでリスティング広告についての情報発信をしているような方に依頼するのが良いと思います。
または、リスティング広告提供会社のサイトから探すという方法もあります。
Yahoo!社はリスティング広告運用の正規代理店を公開しています。このページでは都道府県や運用額で探せます。
- 正規代理店へのご相談 | サービス | Yahoo!プロモーション広告
- 正規代理店 一覧 | Yahoo!プロモーション広告
Google社では予算や地域、業種から探すことができます。
2.運用代行会社に提案依頼書(RFP)渡す
リスティング広告の月額予算や目的を書いた提案依頼書(RFP)を作り、運用代行会社に渡します。
3.運用代行会社から提案を受ける
運用代行会社からリスティング広告の戦略や方法、運用方法といった提案を受けます。不明点は全て質問しましょう。提案した会社がその場で質問に答えられない場合は質問を持ち帰っていただき、後日回答をしていただきましょう。
4.運用代行会社に実施の連絡を行い、開始
提案に納得ができれば、運用代行会社に実施する旨を伝えます。運用代行会社がリスティング広告を設定して開始となります。提案に納得ができない場合は再提案していただくことになります。もし、それでも納得ができない場合は別会社に提案依頼を行いましょう(1に戻る)。
5.実施内容をレポートなどによって確認
多くの場合、月に一度、運用レポートといったものを報告してもらえるはずです(広告予算や運用会社の方針によって、報告の方法は異なる場合がありますので、事前に確認しましょう)。運用レポートを確認しながら、新たな報告を受けたり、翌月の運用方針について話しあったりしながら、改善していきます。
(2)インハウスで行う場合
リスティング広告は直接、自社で開始、運用することも可能です。リスティング広告は法人以外の個人でも可能です。
以下のURLから直接申込みましょう。
リスティング広告は運用代行会社に頼むべきか、インハウスで行うべきか
リスティング広告は運用代行会社に頼むべきでしょうか。インハウスで行うべきでしょうか。運用代行会社に頼むメリットと、インハウスで行うメリットについて整理してみましょう。
運用代行会社に頼むメリット
ノウハウを活かした運用を行ってくれる
運用代行会社はそれなりの運用ノウハウがあります。おそらく自社で行うよりも良い運用をしてくれるでしょう。そのため、良い獲得件数、良いCPAになることが期待できます。
運用の手間がなく、運用を行う時間を節約することができる
リスティング広告の運用は意外に時間がかかります。「設定だけして後は放置」ということもできますが、良い成果は期待できないでしょう。良い成果を出すためには戦略と細かな運用が必要です。自社でリスティング広告の運用を行うとなると、どうしても運用に時間が取られます。時間は有限ですので、運用にかかった時間の分、本業に割ける時間が減ってしまいます。時間だけを考えると、代行をしてもらったほうがいいでしょう。
インハウスで行うメリット
運用代行費用がかからない
運用の代行を依頼するということはリスティング広告の消化額だけではなく、運用代行費用といったものがかかります。一般的に運用代用費用は消化額の約15〜20%かかります。消化額に比例して運用代行費用も高額になります。初期設定費用がかかる会社もあります。
一方、インハウスで行う場合は初期設定費用、運行代行費用がかかりません。しかしもちろん、自社の社員が行う場合は自社の人件費がかかることを留意してください。
運用ノウハウが自社に溜まる
運用代行会社に運用を任せ、良い成果が上がったと仮定します。では実際にどのような運用を行って良い成果が出たのか、ということを運用代行会社は詳細に説明をしてくれないかもしれません(運用方法が彼らの生命線かもしれません)。優良な運用会社は説明をしてくれるかもしれませんが、おそらく概要だけで詳細までの説明まで行ってくれるところは数少ないでしょう。
その場合、なぜ上手く行ったのかというのがわからず、そのノウハウは運用代行会社に蓄積されていくことになります。
一方、インハウスでリスティング広告を行うと、上手く行っても上手く行かなくても、少しずつノウハウは蓄積していくこととなります。
インハウスでリスティング広告の運用ノウハウを持つということは、リスティング広告の実施をすぐ自社で行うことができるということになります。一度、ノウハウを蓄積していれば、別事業を始めたときに、最初から高いノウハウでリスティング広告の運用を実施できます。
ただし、リスティング広告の運用というのは、究極的にはマニュアルに溜まるわけではなく、人に溜まるものです。担当している社員が一人だけリスティング広告を運用している場合、担当社員が辞めたときに一気に会社のノウハウがなくなってしまうということになりかねませんので、気をつけてください(逆にいうと、その管理ができない場合は運用代行会社に外注したほうがいいといえます)。ノウハウを会社に溜めるような仕組みづくりも合わせて必要です。
また、ノウハウがあるということは広告運用会社に対して、より対等に近く渡りあえるということもいえます。
どちらで行うべきか
まとめです。リスティング広告は運用代行会社に頼むべきか、インハウスで行うべきか、というのは専門家によっても見解が別れると思います。事例によってケースバイケースなのですが、およその目安を書きます。
予算が少ない場合
予算が少ない場合は自社で行ったほうがいいでしょう。運用代行会社というのは大抵、最低費用というのがあります。例えば、Yahoo!プロモーション広告の正規代理店で★(スター)を持つ代理店というのは、月額の最低費用として30万〜というところが多くあります。小さいところは5万からというところもあります。
・有名広告代理店に運用依頼は月額約30万〜
・小さい広告代理店に運用依頼は月額約5万〜
なぜ最低費用があるのでしょうか。簡単に書くと、消化額が少ないと、運用代行会社にとって「ビジネスとして割にあわない」からです。
例えば、30万の場合で、運用代行費用が20%の場合、30万が全て消化したとして、
30万円 ✕ 20% = 6万円
というのが運用代行会社の取り分となります。実際は月額予算が全てが消化するわけではないので、これより低くなります。
例えば、リスティング広告運用会社の運用担当社員が時給3000円だったとします。そのとき、月額6万円分の取り分を考えると、その社員は何時間、そのアカウントのために働けるでしょうか? 何時間が損益分岐点となるでしょうか?
6万円 ÷ 3000円 = 20時間
ということで、月に20時間が損益分岐点となります。30万円が全て消化した場合で運用代行費用が20%の場合、運用時間が20時間以下の場合、黒字になる可能性があるといえます。
月に20時間……月の営業日が約20営業日ですので、「20時間 ÷ 20営業日」ということで、1日1時間が限界といえます。1日1時間しか運用に時間が避けないということになり、この時間で十分な運用ができるかどうか、ということになります。
もちろん、1日1時間で十分な運用ができるかもしれないですが、これくらいしか広告運用会社は時間が割けないということを頭に入れておいてください。
(実際は時給3000円の他に営業マンの費用などさまざまな費用が入ってくるので、1日に使える時間はもっと少ないでしょう)
月額予算、月額の消化額によって、運用に使える時間が変わってくるといえます。ということは運用代行会社としては予算や月額消化額の大きい顧客に対しては、時間を使い、大事にします。そのとき、残念ながら予算の少ない顧客は優先順位が低く設定されてしまい、おそらく満足な運用はされないでしょう。
であれば、私は予算が少ない場合はインハウスで運用したほうが良いと考えます。仮に予算が大きくなり、自社で手が回らなくなった場合でも、ノウハウがありますので、広告運用会社とも対等に渡り合えるはずです。
月額の最低費用として30万〜が多いということを本項で述べましたが、あくまでこれはYahooプロモーション広告のだけの場合が30万〜ということですので、Googleアドワーズ広告を行う場合はさらに倍近くかかることとなります。
ですので、およその目安ですが、
月額50万未満の場合はインハウスでの運用を
月額50万を越える場合は運用代行会社に依頼を検討
ということを考えていただければと思います。
リスティング広告が事業に直結している場合
リスティング広告が自社のWeb事業と直結している場合はインハウスでの運用を行ったほうがいいと考えます。
リスティング広告経由による売上が重要な割合を占めており、リスティング広告によるCPAを下げれば下げるほど、自社の利益は上がり、CV数(獲得件数)を上げれば上げるほど売上は伸びる、という明確な筋道がたっている場合はインハウスの運用が良いでしょう。
この状態になってくると、経営の重要な要素としてのリスティング広告が位置づけられます。リスティング広告の出来が生命線となるでしょう。経営の生命線である重要な要素を広告運用会社に任せる状態にあるのは危険です。
もし広告運用会社がサボったり、重大なミスを起こしたり、運用担当が変更になったり…ということで以前よりCPAが悪くなったり、CV数が大幅に悪くなった場合は経営に多大な悪影響を与えます。
このレベルになった場合は使用額も多いと思いますので、インハウスでリスティング広告担当者を育成したほうが良いと考えます。
運用ノウハウについて
リスティング広告を開始するには特殊なノウハウは必要ありません。リスティング広告の本を一冊読めば基本的な仕組みはわかるでしょう。ただし、本はできるだけ新しいのが良いと思います。ここ1〜2年以内に出版された本を買いましょう。運用している価格が数千円〜数万円のうちは自分で本を読み、運用してみるのが良いと思います。
しかし、運用が自分の行っている業務時間を圧迫するような大規模なものになってくると、プロの運用ノウハウが必要になってくるかもしれません。その場合は運用代行会社に相談してみましょう。